リアルで明解なイラストと剖出写真で、
注射、採血の解剖学的背景を徹底解説!!
医療技術行為の大半は被験者にとって侵襲的であるため、
十分な局所解剖学的背景を理解したうえで行うことが大切です。
本書は、解剖学のオーソリティーである佐藤達夫先生が、
医療現場で実施される頻度の高い注射・採血の解剖学的背景を、
実際の剖出写真や明解なイラストを用いて解説しています。
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CONTENTS
Lecture1 静脈注射・採血
どの静脈に注射すれば安全か?
- 穿刺部位としてよく用いられる肘窩の皮静脈
- 皮静脈の走行──手背側の静脈網がよく発達
- 皮静脈の走行には、豊富なバリエーションがある
- 皮下の静脈と神経は近接して走っている
- 皮神経の枝の数が多いのは、肘窩の内側
- EVIDENCE尺側皮静脈の周辺・前面(浅層)には、多数の皮神経の枝が走行
- 逆三角形をイメージし、その奥を走る動脈・神経に注意
- 深く刺すと上腕動脈や正中神経を傷害する
- 肘窩の断面からもわかる、推奨される注射部位
- 皮下の “細い動脈” に刺入してしまう危険性
- 皮下の “深い動脈” に刺入してしまう危険性
Advanced Lecture肘窩の解剖
- EVIDENCEまれにみられる、“浅い” 前腕の動脈変異にも注意!
- Column“血管” といえば、静脈のこと?
- Column橈側皮静脈と尺側皮静脈、その名の由来は?
- 手クビ近くの静脈穿刺は安全?
- 穿刺する候補は橈側皮静脈
- タバチエールと周囲の解剖
- STUDY橈骨動脈が手掌に戻る際に通る隙間
- タバチエールに穿刺する際は十分に注意!
- STUDY背側ではよくみえる、手クビの腱
Advanced Lecture手クビまわりの橈骨動脈の走行
Check!足クビへの静脈注射──穿刺に適しているのは内側? 外側?
- STUDY伏在神経は、大腿前面から足クビまで達する唯一の神経
Lecture2 皮下注射
皮下注射の際は、橈骨神経の走行に注意!
- 橈骨神経は腕神経叢の最も大きな枝
- 橈骨神経は腋窩後壁の三角隙を通る
- “回旋” する腋窩神経に対して橈骨神経は “らせん” 状
- 橈骨神経は筋間中隔を貫いて後ろから前へ下行する
- 筋間中隔の貫通部が注射時の“ウィークポイント”
- 上腕伸側への安全な注射部位とは?
Check!外側上顆より4横指上方に注意!
- POINT肘頭が術者に向くと橈骨神経を損なわない
- EVIDENCE皮下脂肪は、男性より女性の方が厚い
Advanced Lecture橈骨神経のらせん状の走行
- 皮下注射で影響を受ける橈骨神経の支配枝
- 三角筋の表面部への皮下注射
- NOTE上腕の皮神経は大きく分けて2パターン
- STUDYインスリン注射の適切な部位
Lecture3 筋肉注射:殿筋
殿部への安全な注射部位は?
- 主な神経の通り道となる、2つのあな(孔)
- 殿筋は、大・中・小の三層構造
- 中殿筋への注射で保護したい上殿神経
- 人体で最も長く太い、坐骨神経の走行
- Columnヒトの殿筋が発達しているのはなぜか?
- 神経を損傷しない、安全な刺入位置はどこ?
- Column“クラークの点”のクラークとは?
- Column現在は注射禁忌! グロスの三角
Advanced Lecture殿筋の三層構造と神経の走行
Check!神経を損傷してしまったら、どのような影響があるのか?
- 2本の神経から構成される坐骨神経
- 脛骨神経、総腓骨神経の特徴
- 梨状筋との交差形態は3パターン
- 脛骨神経と総腓骨神経の重なり方
- 上殿神経損傷の影響
- Column注意したい、注射針の “刺入深度”1
- Column注射針が腸骨を貫通すると危険!
Check!小児への筋肉注射で適切な部位は?
- 殿部・三角筋は適さない
- 適しているのは大腿前側
- EVIDENCE大腿筋群の重さの比較
- EVIDENCE大腿四頭筋で “いちばん重い”のは、外側広筋
- 大腿四頭筋の構造
- 大腿四頭筋を支配する大腿神経
- 大腿への適切な注射部位は?
- 外側広筋への注射部位
- NOTE大腿四頭筋硬縮症に注意
Lecture 4 筋肉注射:三角筋
肩峰から3横指下に注射すると “危険”?
- 頸から起こり、“後ろから前へ”回る腋窩神経
- 腋窩神経は1つの隙間から4つの枝へ分かれる
- 肩峰から “3横指下” は本当に安全か?
- 腋窩神経の主枝は、肩峰から “ほぼ3横指下を通る”
- 推奨される注射部位は“正三角形” の内部
Advanced Lectureその他に推奨される注射部位
Check!刺入時の注意点1──三角筋前方への刺入
Check!刺入時の注意点2──後上腕回旋動脈
- 三角筋はでこぼこした大きな筋肉
- 上部、中間部、下部で厚さと固さが異なる三角筋
- Column注意したい、注射針の“刺入深度”2
- EVIDENCE三角筋は、上肢においては上腕三頭筋に次ぐ大きな筋である